書籍情報共有:平手の新しい戦法 順位決定戦快心譜

書籍情報共有:平手の新しい戦法 順位決定戦快心譜
 
【書籍情報】
・著者 塚田正夫
    花田長太郎
・発行日:昭和23年10月10日
・発行所:王将社
 
 名人塚田正夫と、その師匠花田長太郎の共著。
 
「平手の新しい戦法」「順位決定戦快心譜」という書籍の題にシナジーがなく見えるが、その実態は『花田長太郎の平手の新しい戦法』『塚田正夫の順位決定戦快心譜』が合体したものである。(そのためか、実戦棋譜のフォーマットや、符号の使い方もこの2者で統一されていない)
 
 配分としては、第一編『花田長太郎の平手の新しい戦法』が9割、第二編『塚田正夫の順位決定戦快心譜』が1割ほどになる。
 
  
 
 第一編は、章ごとに 実戦棋譜をもとに平手定跡を生成する形になっている。
 実戦棋譜を使っていることもあり、自然と、自戦記と定跡書が合わさったような箇所や、対局相手について頁を割いている箇所もある。
 割合としては、跡部分が8、自戦記部分が2というところだろうか。
 
 土居市太郎についての一節には
「君には、いつも丸勝ちの将棋をのがす」
 といった土居氏のぼやきも記載されており、現代だとどの棋士がぼやけば似合うのだろうか、とも思わせる。
 
 
 古棋書だけあって定跡の内容は古いが、実戦棋譜が日付・対局場を添えて(ないものもあるが)掲載されているのが嬉しい。(考慮時間らしき数字もあり)
 以下、掲載棋譜リスト
 
【第三章】
・日付記載なし [名人挑戦予選順位戦] 先:塚田正夫 後:花田長太郎 塚田勝ち
【第四章】
昭和16年6月18日 [朝日番付戦] 先:渡辺東一 後:花田長太郎 花田勝
  ※封手,第二日目指継という記述あり
昭和11年8月16日 [第一期名人位決定戦] 先:花田長太郎 後:木村義雄 花田勝
【第五章】
昭和18年9月12日 [朝日番付戦] 先:花田長太郎 後:木村義雄 花田勝
  ※第一日目指了り封じ手,第二日目翌日指継という記述あり
昭和17年2月17日 [四社連盟手合] 先:萩原淳 後:花田長太郎 萩原勝ち
昭和17年2月8日 [読売棋戦] 先:花田長太郎 後:坂口允彦 花田勝
  ※第一日目封手,翌日指継第二日目という記述あり
昭和19年5月25日 [昇降段戦] 先:花田長太郎 後:萩原淳 花田勝
【第六章】
昭和18年11月22日 [昇降段戦] 先:花田長太郎 後:渡辺東一 渡辺勝ち
・昭和21年9月1日 [順位戦対局] 先:花田長太郎 後:土居市太郎 花田勝
  ※自分の知っている花田土居戦の棋譜と違う…?
・昭和22年1月23日 [第一期順位戦] 先:花田長太郎 後:渡辺東一 花田勝
・昭和21年7月20日 [順位戦対局] 先:金子金五郎 後:花田長太郎 花田勝
【第七章】
・昭和20年10月6日 [順位戦対局] 先:大野源一 後:花田長太郎 大野勝ち
  ※昭和20年…?
【第八章】
・昭和21年9月22日 [順位戦対局] 先:花田長太郎 後:坂口允彦 坂口勝ち
【第九章】
昭和17年5月10日 [読売特選手合] 先:花田長太郎 後:木村義雄 木村勝
  ※第一日目封手,第二日目指継という記述あり
【第十章】
・昭和21年7月24日 [順位戦対局] 先:花田長太郎 後:斎藤銀次郎 斎藤勝ち
 
 
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 第二編は、塚田正夫勝局集という趣きであり、その全ての対局は第一期順位戦から選出されている。
 萩原淳氏の苦戦になった時の癖など、当時の対局の様子を読み解ける内容もあり、少ない頁数ながらも読み応えがある。
(『当時の新聞掲載の講評と、自分の形勢判断が違うな』といった現代でもあるあるのエピソードもさらりと書かれている)
 
 以下、掲載棋譜(日付などの付記はなし)
・[第一期順位戦] 先:塚田正夫 後:渡辺東一 塚田勝ち
・[第一期順位戦] 先:加藤治郎 後:塚田正夫 塚田勝ち
・[第一期順位戦] 先:塚田正夫 後:土居市太郎 塚田勝ち
・[第一期順位戦] 先:村上真一 後:塚田正夫 塚田勝ち
  千日手指し直し局との記述あり
・[第一期順位戦] 先:塚田正夫 後:萩原淳 塚田勝ち
  プレーオフらしき記述あり
・[第一期順位戦] 先:大野源一 後:塚田正夫 塚田勝ち
  プレーオフらしき記述あり
  ※対局場所は「河田町会館」との記述あり
 
 
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